寡聞にして全く知らなかったのだけれど、日経新聞によれば、すかいらーくHDが買収して今後全国展開するようです。既に九州を中心に西日本で70店舗も展開しているそうで、東日本民の私が知らないだけらしい。
「丸亀」と「はなまる」がうどんチェーンのメジャーどころとして定着しているところに、第三極として、将来的には海外展開も見据えて展開するそうで、店舗網にはガストの転換も図っていくとのこと。
うどんは詳しくないのだけれど、丸亀は関西発祥の讃岐うどん系、はなまるはズバリ讃岐発祥だと記憶していて、いずれも讃岐うどんのコシだとかダシだとかの、ある種のブームに乗って大発展したと思うが、今回の「資さん」は北九州発祥。
北九州のうどんって、タモリが声高に主張しているように「うどんにコシなんかあっちゃダメ」という代物だと認識しているけど、これまで先行組が「おいしいうどんはコシが命」と何年もかけて国民を教育してきて、スーパーの冷凍うどんだってほとんどが讃岐風のコシあり麺であることを考えても、完璧に讃岐こそがうどん、という素地が出来上がっているように思うのだが、さてその辺りの勝算はあるんだろうか。
まあメニュー構成も知らないし、実際の資さんうどんを食したことも無いから想像だけが逞しくなってしまっているんだけれど、これまで九州を中心に西日本エリアで展開して来たことを考えても、自社製品の特性をよく承知しているからこそのこれまでなんじゃないか、という気がしている。
とは言え究極のメニューを探求してやまない、かの「美味しんぼ」では、山梨のほうとうをテーマにした回で、ふわふわぷにぷにの「天使のほっぺ」と評されるうどんが、おばあちゃんのうどんとして登場して皆を陶酔させる。同じ回では、元力士の作るむっちむっちのコシ自慢うどんが「像のお尻」と表されるのだから、必ずしもコシがあれば良しとされる訳でもないことはその通りだろう。
と、すけさんがどんなうどんかも知らないで、勝手にコシがあるの無いのと言っているが、実績のある大企業が成算ありと踏んで展開するのだから、第三のうどんチェーンとして、きっとそれなりのポジションは築くのだろうと、要らぬ心配はせずに楽しみに待っていれば良いのだろう。
それはそうと、そもそもに立ち戻って考えるに、何故うどんはチェーン店としてある種のファミレスの範疇でやっていけるのだろうか。
私はなんたって東日本民なもので、うどん文化圏には属しておらず、断然そば文化圏の住人であり、幼少の頃うどんというのは腹を壊したときか風邪をひいたときに母親が作ってくれるものであって、そういう物であれば当然コシなどはなく、ふわふわといかにも消化の良いものであった。
その意味ではそばの方が年越しには欠かせないなど、断然ごちそう感はあったし、長じて酒なんぞ飲むころになると江戸落語にあるような、板わさだのかき揚げだので一杯やって、盛りそばをズズっと”手繰って”さっと立ち上がる、ってなことを、粋だねえなんて自分で悦に入っていた。
自分の住まう地域では蕎麦屋は老舗から新興まで、ちょっと気どってお高めの店として、当然酒も楽しめるのが数軒はあるし、逆に立ち食いスタイルで早いのうまいのやっすいのお~、と三拍子そろった風な奴もある。ただ、ファミレス感覚で子供も一緒に、リーズナブルな価格で食事として満足できるような店は、うどん屋の丸亀くらいしかない。
というのが何とも不思議であって、そばとうどんの根本的な違いが何か分からないが、ともかくもあるようで、であればこそトリドールだのすかいらーくだのが全国区でマニュアル化された店舗事業として手を出すのだろう。
第三のうどんチェーンが成功するとしたら、きっと第四、第五のチェーンも在りうるのだろうから、また面白い、我々にはありがたい競争が始まるんじゃなかろうか。
それはそれで楽しみである。