終わってみれば青学完勝。駒沢最強説はどこ行った!?

 今年のお正月は地震や航空機事故など痛ましい出来事が重なって、被害にあった方にはお見舞い申し上げます。お見舞いより何か行動しろと言われそうですが、ともかくも痛ましいことで、という他ない。恐縮です。

そんな中でも箱根駅伝は盛大に開催されましたなあ。ある種の感慨。

 今年は元旦の能登地震でTV局各社の正月特番が全部飛んだ。恒例の「格付けチェック」などずいぶん力が入っていたようだが、さすがに大規模災害中に100万円のワインとか言ってられないし、関係者にとっては残念でしょうが、こればかりはしょうがないね。

 この分では翌日の箱根駅伝は、大会自体は被災地とは遠いし実施されるだろうが、放送は飛ぶかなと思っていたが、それはなかった。

さて、始まってみればいきなり駒沢が一区完勝。歴代2位の時計。

 とのことで駒沢最強説を目の当たりに。このまま独走で全区間区間賞なんて、前代未聞の総合完勝でもやらかすんじゃないかという予感。と言ってる間もなく2区は青学が好走して区間賞。これで青学2位に進出も駒沢は依然1位。

 ところが、3区でかわされて青学に1位を譲ると、後は失礼ながら、駒沢良いところなしの、ずっと2位。とは言え、駒沢は2分半程度のビハインド。このタイム差であればまだ復路逆転もなくはないと、少しは期待もあったのだが、問題はその復路にあった。

 復路も5区間あるのだから単純計算で1区間30秒ずつ詰めていけば、理屈上は何とかアンカー勝負に持ち込める。とは言え、あのレベルの選手が20km60分程度で走る間に30秒を詰めるのは、簡単ではないことは分かるが、最強と謳われた駒沢であってみれば、なにがしかのドラマを見せてくれるのではないかと勝手に期待したところ。

 それには昨年の箱根の記憶も手伝っていて、昨年の青学は往路4区2位から5区で失速して3位。さらに復路に入って6区はブレーキ状態で小田原では7位。さらに平塚では8位ながら、続く戸塚で7位に戻し、鶴見ではついに3位に復活。そのまま大手町に3位でゴールした。負けてなお「青学ここにあり」という意地の走りを見せつけられて、まあ目頭を熱くしたわけ。視聴者としては勝手ながら、箱根にはこういう「魂の走り」を期待するところ大であって、

簡単に言えば「ドラマティックな展開が見たい!」。

 のだけれども、駒沢の選手には、泥臭いガムシャラさのようなものが薄かったのが残念ではある。ここ2年間は王者、エリートであって、負けたくないとか他人の背中を追うといった気概は、無意識のうちに希薄になっていたのかもしれず、いざそうなった時にある種の「混乱」状態になったのかもしれない。

 指導者の側にも、王者ゆえの難しさもあったろう。1位じゃなければ10位でも(シードが取れれば)一緒くらいの開き直りの気持ちでもあれば、選手もパンク覚悟で突っ込んで前を追う気になれたのかも知れないなどと思う。が言うは易し、ということだろう。重圧の中にいた選手や指導者に同情は感じる。

 そうは思いつつも、1区間に1分ずつ遅れていく展開は、走力よりは心理的に負けていたのかなあと、素人目には映った次第である。

 学生スポーツの難しさ、と一言でくくれば簡単だが、あまり科学的に突き詰めすぎて勝負へのこだわりとか魂の走りとか根性とか、そういう側面が弱くなってしまうと、結局のところオリンピックのような世界的なレベルでも勝てないような気がしている。

 こうなってみると大八木さんの「男だろ、男を見せろ!」とか「跳べ!跳べ!頭から突っ込め!」とかって、ある種の問題発言的ではあるけれど(笑)、ものすごい力のある「金言」だと思いますな。