玉ねぎの仇は長ネギで返す?お隣の政治がネギで大騒ぎのようだ。

韓国のユン大統領がスーパーに視察に行って、長ネギが100円くらいだったのを「合理的な価格」と言ったら、庶民の事を分かってないと総攻撃を喰らっているらしい。

 本当は今は300円くらいするのだそうで、100円は破格の安売り値。そんなことも分からないで大統領が務まるか!ってことのようだけれど、個人的にはネギの値段が分からなくても十分務まるんじゃね?としか思えない。

 消費者物価指数が分からないと言うんなら、そりゃ大統領失格かも知れない。しかし対象はネギだ。攻撃している方々はネギでも大根でも、あるいはキャベツ、白菜、ニンジン、ジャガイモ、あるいはサラダ油の値段を知ってんのかい、って思わないか。

 政治家に限らず、普段スーパーで買い物をしないサラリーマンだって、私のような家事はほぼできないジジイだって同じ事。試しに街頭で聴いてみればよい。ほとんどの人は良くて当たらずとも遠からず程度だろう。

 今回の事で、ネギ100円は1年前ならあながち見当外れでもない感覚だろう。その意味では「よくご存じで!」と言われて良いのかも知れない。逆に500円くらい?と言わなかっただけ、セレブ感がついついにじみ出なくてラッキーだったかも。

 大体あの奥様の風体を見たら、家族こぞってネギの値段なんかご存じないと思う。ユンさん元々は一国の検事総長だ。検事総長がスーパー通いしているような国だったら、そっちの方が国民は心配にならないか。

 別にユン大統領を支持している訳でも何でもないが、韓国も日本も、政治の世界で「そんなことも知らないで良く務まるね。」という類の「そんなこと」って、政治家で格の上の人が普通知らないだろう、あるいはそれを知ったからなんだ、という類が結構ある気がする。

 我が国でも当時の麻生総理がカップラーメンの値段を聴かれて、400円くらい?と言った事があった。でもそもそもあの人は庶民じゃないし、自分で買い物なんかするとは誰も思ってない。そんな人に野党議員がよりによって国会で質問をしたのだ。

それで鬼の首を取ったように「この人は庶民の事が分からない。ダメな奴だ。こんな人に国を任せられるか!」って、相当見当はずれなお祭りに仕立てるから良くないな。

 ネギが300円するとか、あれが200円だこれは500円だと、そういったことは日々の暮らしを直撃するし、低所得や年金生活層にあっては文字通り「食うに困る」状態の方もいるだろう。

 その時に為政者が自分たちの事を分かってくれないと思う気持ちも分かる。何とかしてくれない政府は交代してくれと願うことも理解はできる。

 ただその状態というのは、国政であってみれば、〇町の佐藤さんや◇村の鈴木さんが生活に困っていると理解することでは無い。あくまでも国民レベルで、その所得水準とか物価水準とか、あるいは為替も絡んだエネルギー価格の動向だとかのレベルで把握して対策を考えるのが仕事である。佐藤さんや鈴木さんが困っていることは情報として意味を持つだろうが、その支援をどうするかは町政や村政の仕事だ。

 そういったレイヤーの違う出来事をある種のイベントに仕立てて、民衆を煽って、政府を貶めるとか、自党の支持を取り付ける行為は、あまりにも下品に思うのだ。

 仮に政権交代が実現したとして、物価高で庶民の不満が高じれば、また時の為政者が「ところで豚コマのお値段はご存じ?」とか聞かれて、「豚コマなる物は、私寡聞にして存じ上げないのですが、1000円くらい?」なんてへんてこりんな問答が国会の場で繰り返されるのだろう。

 かつての田中角栄総理は庶民宰相と言われたが、確かに出自は庶民中の庶民ではあっても、宰相となる頃には目白”御殿”にお住まいであって、誰も庶民だなんて思っていなかった。世界中の総理だの大統領だのの多くは控えめに言ってもエリートであり、貴族までいる世界である。

 今回のような騒ぎは、どう考えても不毛だろう。