日経平均祭りだあ!34年ぶりってのがすごいけど、アメリカはその間14倍になってるそうだ!?

忘れもしないバブル時代。前回高値の38,915円が実はバブル崩壊の始まりとは当時は誰も知らなかった。それが12月29日、大納会の出来事ってのがまたなんとも劇的ですなあ。

 今回の最高値更新の報道で何度もバブル当時の映像が使われていたけれど、過去のバブル景気はその後の山一證券の廃業につながった事でも印象深く、山一最後の社長野澤氏の「私たちが悪いんで、社員は悪くありませんからっ!」と叫ぶシーンが繰り返し流されている。

 放送はそこでぶっつり切られているが、映像のその後には「そういう次第なので社員の今後の生計が立つように、どうかよろしくお願いする」という趣旨の発言が続くのであって、今見ても胸が痛む。

 調べてみれば山一の自主廃業は1997年のことで、要は事が露見して簿外債務等でニッチもサッチも行かなくなるのにそれだけの年月が掛かったということだろう。

 当の野澤社長にしても、本当に悪いのは先代、先々代等1980年代のトップ達であって、後始末がどうにもならなくなった状態で、簿外の額も知らされずに最後の社長に据えられた彼の涙ながらの訴えであれば、二重に胸が痛む。

 当時のバブル景気は山ほどの不祥事やら犯罪やらとごた混ぜの喧騒状態だった。元々は土地バブルから始まっていると思うが、地上げ屋が跋扈したり兜町の風雲児と呼ばれる輩が一瞬で億単位の金を動かしたり、いかがわしさと暴力性が混じった熱量(本当の暴力も含めて)と、一般人の突き抜けた浮かれ様が渦を巻いているような時代。その時の空気を吸った者でなければ到底理解できない社会状況ではあった。

そんなこんなを思い出すにつけ、さて日経平均が史上最高値の今、こんな熱狂がどこにもないのは何故?

 TVで何とか研究所の人が言っていたのが「当時は企業が国内で稼いでいたから国内に金が回ったのだが、今は多くの企業が外国で稼いでいるので国内に金は回っていない」のだそうだ。なるほどそれなら浮かれるはずもないか。

 他に言われているのが、同じ34年前と比較した時に諸外国ははるかに大きな成長を遂げていて、日本が1倍に戻したと喜んでいるのに、韓国は3倍、ドイツは9倍、アメリカは14倍!に成長しているとのこと。

 これに関してついでに言えば、ドル換算では34年前の高値は当時で270ドルくらい。今はドル円を150円とすると39,000円は260ドルで、ドル建て日経平均はまだ過去の高値すら抜いていない。(実は2021年1月に為替が100円くらいの時に既にわずかに抜いているが)今はドルベースで考えれば41,000円くらいにならないと、本当は喜んではいけない勘定だ。

 もっと言えば、日米比較を考えてみると、当時の日経が270ドルとして、その14倍は3,780ドル。今のドル円が150円であれば、なんと567,000円に相当する。もう笑うしかない。

 いくら何でもそれはご容赦を、というのであれば韓国並みに3倍にまけてあげる?として810ドル、同じく円では121,500円に相当。でもこれくらいだと、本当はそうであっても不思議じゃないはず、何でなれなかったの?なっていて欲しかったと思えるのだけれど、私だけか?

 これではとてもじゃないけれどエンパイアステートビルなんて買えるはずもなく、まあ浮かれるどころの話じゃないことも思い知らされる。

 これがしっかりと我が国の給与水準やら物価の現状として表れているのだろうと、しみじみ感じ入った。我が国が世界からはるかに遅れたことを突き付けられた感じがして、一句。

 「めでたさも中くらいなりおらが春」。違うか?