スノーピークがとっても安い。商品じゃなくて株価だけど。

スノーピークが大減収減益だそうで、MBOでの非上場化も検討中だとか。結局コロナバブルだったのかと思うと、ちょっと切ない。

 一時、TVでも盛んにアウトドア特集をやっていたけれど、近ごろさっぱり見かけない。スノーピークも「アウトドア文化を提案する」みたいなことで、文字通りピークに向かっていたのだけれど、昨年になって業績は相当に落ち込んだようだ。

 要因の一つには、もてはやされて事業拡大をした時に厚みを増した人件費が重荷になっていたということもあるらしいが、基本的には絶対的な売り上げが落ちこんだということのようだ。

 結局アウトドア人気はコロナ禍での「感染を避けて楽しめるレジャー」としての要素に拠るところ大だったのだろうが、あまりの人気沸騰ぶりに、文化とかあるいはグランピングのような高級路線とか、何かと方向性を見誤ったのかも知れない。

 コロナ禍で社会全体の行動様式が変化する様子が随所で見られた時、「もう前には戻らない」とか、これからは「コロナ前の時代とコロナ後の時代として歴史が語られる」なんてそこら中で言いふらす人がいた。

でも、コロナが終息すれば「結局、しかも直ちに元に戻る」というのが正解だったようだ。当時の識者などなど、発言をきちんと総括したほうがいいぞ(笑)。

 余暇を楽しむレジャーとして、山の中で汗臭い体で不慣れなテントで寝るより、大抵の人はハワイのプール付きホテルで憩う方が絶対に好きだ。BBQも楽しいが、ミッキーに会いに行く方が何倍も嬉しい。元通りの行動をしても問題ないですよとなった瞬間、結局は元に戻って、アウトドアライフはそれが本当に好きだった人のレジャーに落ち着いてしまったんだろう。

 レジャー関連ではゴルフも一種のアウトドアであり、同様の事情にあるかも知れない。そもそもなぜゴルフが下火になったかを考えれば、その要因が解消されない限り改めて人気が出ることはあり得ないのだが、その要因の解消は難しい事が多い。

 例えば、プレー代が高い、道具が高い、ゴルフ場が遠い、車がないと行けない、一日つぶれる、マナーが面倒くさい、それなりに練習しないとできない、なまじできれば接待に駆り出されて休日も仕事になる。等々

 日本のゴルフ自体、バブル時代の社用で発展した経緯もあり、それ用にシステム化されているのだから、今どきの若者の感性の対極にあることは間違いなく、であればコロナが終息した(規制が緩んだというべきか?)状態では自然に縮んで行く市場だろう。コロナバブルで一瞬夢を見たようなものか。

一方で「もう元には戻らない」だろうなという分野もありそうだ。

 私が思うには、その筆頭が葬儀関連。今は家族葬が標準になったと言えるのではないかと思う。昔は市井の人でも一家のご主人なんかが亡くなると会葬者も膨大で、さらにはやれ通夜振舞いだ、お斎だと一大イベントだった。それがコロナで一瞬で変わり、おそらく今後も戻らない。

 結婚式の披露宴も近いかもしれない。他には会社の接待の二次会以降。こういったものは皆が「無駄だよな」とか「意味分かんねえし」とか「めんどくせえ」とか思っていた事柄で、それがコロナで強制的に「禁止状態」となったらみんなが「えっ!これってやらなくても良かったんじゃん。」と、真実に気付いた(笑)からだろう。

 こういう業界の方は急激な変化で対応が難しいし、持ち堪えられないところも既に多いと聞く。最初に書いたスノーピークなんかは、同じコロナに翻弄された業態ではあっても、今後の対策の取りようもあるだろし、まだ恵まれている方なのかもしれない。

 何とか頑張ってまた元気を取り戻してほしいところであるが、一つお願いは、もうちょっと商品を安く提供してもらえませんかね。ハワイに行けない人達もキャンプには安心して行けるように。そういう人は(自分も)アウトドア文化とか要らないので。