ミサイル攻撃に備え「地下シェルター」。すっごい時代になって来たあ!

読売新聞のネット版で見かけた記事。東京都が麻布十番駅に整備方針、だそうだ。

 改めて、すっごい時代になったもんだと、ため息しかない。まだ調査費を付ける段階らしいが、本気には違いないんだろう。

 諸外国では地下壕とか、シェルターとかを家を建てる時に備えるのが常識になっている国もあるそうだが、戦争がいつでも起きるという前提の国と、日本のように、前提として戦争は起きないとする国では自ずと意識が違うし、備えも当然に違ってくる。

 そこまで考えていたら、日常的に地震や水害が起こると誰もが信じている日本が、なぜ各家庭や地域においてそのためのハード面の備えが薄いのだろうかと、ふと思った。

 家屋やビルの耐震については何度も建築基準法の改正があって、現在の基準で建てられた家屋やビルは、震度7程度でも直ちに倒壊はしないはずである。防火もしかりで、直ちに有害な煙に巻き込まれたり、焼け落ちたりはしないはず。

 ただ、今回の能登地震で明らかなように、基準に達していない古い建物はひどくあっけなく倒壊するし、あっという間に燃え落ちる。けれども、個人レベルでは”自分のところには来ないかもしれない災害”に向けて結構なお金を積極的に費やすのは難しいから、せめて補助金等で「誘導」するのが精一杯なのだろう。

ただ、あるかどうか分からない事態に向けてシェルターを作ろうとする意志とパワーがあるなら、相当の蓋然性のある地震や水害に対して、行政はもっと力を入れても良いんじゃなかろうか。

 イヤイヤやってますよ、と言われるかもしれないが、現に大惨事が起きているし、たぶんこれからも起きる。意地悪く見れば、行政の不作為とか未必の故意とか、言いたくもなる。

 例えば強制力を以て、耐震基準未達の家屋には、一部屋、4畳半でも良いので、絶対つぶれなくて燃えにくい部屋を設置(部屋の内側に二重に部屋を作るのでも良いだろうし)させて、その費用は全額補助するとかできないものだろうか。

 もう一つ、シェルター的な要素も取り入れるなら、車庫を作る時にコンクリート造にすることを義務付けて、補助金を出すなんて言うのも有効だと思う。

 シェルターと言ってもミサイルや爆弾の直撃にも耐えられるような、そんな大本営みたいな機能はいらないので、まず地震でつぶれない、水害でも水が引けば避難所に使える、燃えない、爆風で倒れない、程度が担保されれば十分だろう。(直撃弾はさすがに「運が悪かったですね」で済ますしかない。)

 耐震と言い、防火防炎と言い、基準を設定する時には「逃げるだけの時間を確保できる」ことが目的で、何も事が過ぎた後も従前と変わらず生活ができることを保証せよとは言わない訳で、まずは逃げて、逆に留まって、命を守れることのみに専念すればそんなに強固で高額なものはいらないのだから、行政も個人も、もっともっと積極的に対策するべきだろう。

 件の麻布十番のシェルターにしても、「爆風から身を守る。その後避難生活ができる」ことが目的のようだから、ここまでは守る、それ以上は諦めるで良いし、それしか現実にはできないのだろうし、そう割り切ればもっともっとやりようはありそうに思える。

 にしても、東京はシェルターなんかを作らなくてもそこら中に地下もあれば高層ビルもあって、当座の逃げ場が結構あるのにさらにシェルターまで考えるのは、やはり底力があるんだな。過疎地の災害とはコンセプトからして様相が違うよね。