少子化がものすごいことになっている。都市の消滅って、どうやら本当みたいだな。

国立社会保障・人口問題研究所の発表で、2023年に生まれた子供が約75万8千人。推計では2035年にそうなるはずだった。しかもそれは2022年に行った推計。

 しかも結婚した人も約49万組で、50万組を下回ったのは戦後初とのこと。日本ではいわゆる婚外子は諸外国に比べて圧倒的に少ないから、婚姻数はダイレクトに出生数につながる。

 ただでさえ少ない子供が成長して、結婚するのも少なくなって、たぶんまた少ない子を産んで、それを向こう数十年繰り返すのだろう。さらにその間、一番ボリュームゾーン団塊の世代高齢者が、平均寿命からしてどんどん死んで行く訳で、たくさん死んでちょっとだけ生まれるという時代が続くから、まさに幾何級数的ってスピードで人口は減っていくのが決定したようなもの。

 なんたって、ついこの前の推計を12年も前倒しで達成?したってのはショッキングな話で、それなりの数学的、統計的手法が通用しないということは、今起こっていることが従来の延長にはないことを物語っているんだろうから、対策なんぞ立てようがないことに繋がるんじゃないか。

さらにショッキングなのは韓国。23年の合計特殊出生率がなんとなんと、0.72。生まれた子供は23万人。10年前の半分とのこと。

日本と韓国とは、同じ極東の島国や半島国であり、第2次世界大戦では敗戦を経験し、その後時期こそ違え、いずれも高度経済成長期を経験し、今ではグローバル資本主義の中で一定の地位を占めている。

 また、学歴社会であったり、多寡はあるが儒教的精神の影響があったりと、諸種共通項があるので、その辺に何らかの少子化に至る鍵が隠されているのかもしれないとは思うが、まあ専門家でも良く分からないのだろうからとやかく言っても始まらない。

ともかくも現実はすさまじいのであって、本当に各地で都市消滅が近々発生するレベルに達したと思った方が良いと思うし、そろそろ本気で覚悟を決めた方が良いのかもしれない。

 ちょっとSFじみた話になるが、自分の住んでいる街、というか市や区の単位で、それが消滅する時に何が起こるんだろうと考えてみるのも、全く切り口が違うがある種の「少子化対策」として有効な気もする。

 人口がどんどん減った時は、まずは「近所の空き家が増えたなあ」あたりから実感が出て来るのか。次にスーパーやコンビニが閉店する。地場の小さい企業が倒産する。職を求めて都会に出る人が多くなる。町内会とかコミュニティが機能しなくなる。そんなこんなで、ごみの収集が来ない、あるいは費用がべらぼうに高くなる、あたりで「もう住めない」かね。

 電気、ガス、上下水道辺りはインフラがダメにならない限り、また耐えきれないほど不経済にならない限り供給は止まらないだろうから、道路もしかり、その辺の要因はかなり時間軸としては後の方になるだろう。

 そうしてある程度の集住が進めばどこかで均衡点が出てきて、少ない出生数でも後はまた100年単位で生活は成り立つのかもしれない。

 そう考えると問題はもっと大きな国力、つまりは国の経済力や国防力だろうが、そちらはたとえばTOYOTAが今と同じだけの自動車を作っても売れないし、そもそも人手がなくて作れないだろうから、どうにもこうにも縮減するしか手立てもないだろう。

 その時に困るのが今の経済圏が自国だけのものでなくて、世界の中でしか成り立たないこと。とは言え、アメリカやアフリカはともかく、ヨーロッパや東アジアも一緒にシュリンクして行くから、まあ日本だけじゃないさと楽観的に生きることができるかも知れないし、どこかの属国になる運命かもしれない。

 と、素人が考えても仕方がないから、こうなった以上俎板の鯉の心境ではあるが、今やろうとしている国の少子化対策が税金の無駄使い、何の効果も発揮しませんでしたとはならないように、そこはぜひともお願いしたい。