「光る君へ」のはじまり~。義経も清盛もいない平安ものをどう描く。1年見続ける価値ありや否や?

「変わりゆく世を、変わらぬ愛を胸に懸命に生きた女性の物語」

 というのがNHKのHPにあったコピー。平安もの大河は人気が出ないケースが多かった記憶だけれど、今回はさらに意外な切り口で平安時代をやるということで、私なんぞにはこの先の展開は皆目見当もつかない。

 紫式部について、私には源氏物語の作者というだけの知識しかなく、どういう立場の人かうっすらした認識はあっても、どのような人生を送ったかなど関心を持ったこともなかった。

 作品である源氏物語にしてからが、「村山源氏」と言われる、少々風変りな現代語訳を古本で買って、3分の一くらいで「こいつ頭の中、女の事しかないのか?」と思って放り投げて以来、いつか日本人として?完走しなくてはと気にかけつつも、どうしても手が出ないでいた。

 コピーのように「変わりゆく世を」丹念に描くとして、例えば前作の家康であれば少年時代から始まって最後は大坂夏の陣と、まあ誰が考えてもその大きな筋やら描かれるべきエピソードは読めると思う。

 しかるに平安時代紫式部当時の「変わりゆく世」といわれても、ある種の策謀というか陰謀というかが渦巻く朝廷周辺の政権争いくらいしか、素養のない私には想像できない。

 「変わらぬ愛」の方は、昨日の放送で既に兆しは描かれたので、たぶん「まひろ(後の紫式部)」の藤原道長への思い(双方の思い?)がメインになるのだろうが、それが史実なのかフィクションなのか、そこに至っては何の知識もないので、今後の展開を楽しみにしているほかない。

 ともかくも時代劇そのものが今のTVには希少であり、また1年を通して豪華キャストを拘束し、舞台や衣装を含めて莫大な予算をかけて作られる、贅沢な作品はNHKにしかできないのだから、素直に今後に期待したい。

ところで、もう一方のNHKにしかできない豪華番組「紅白歌合戦」の存在意義はアリやナシや。

 昨年までの司会者に歌わせてみたり、民放バラエティの雄を司会に使ってみたり、私としてはすでにこの段階で視聴率の結果を見るまでもなく詰んだと思ったのだが、如何だろうか。

 一般論として、今の時代は「総合的なイベント」というジャンルが成り立ちにくいと思う。スポーツは典型的にその傾向にあって、「総合」の代表たるオリンピックも、開催都市のサスティナブル宣言などに表れているエコ志向、低予算・低負荷志向など、開催意義そのものが以前とは異なってきている。

 またスポーツ種目単独の世界的な大会が充実し、例えば世界大会とかワールドカップと言った名称の元、その権威や観客の動員、商業的価値等、明らかにオリンピックよりも上位の大会となっているものが多くなった。

 国内のスポーツでも、特に国体の価値は恐ろしく低くなっていて、そこでの優秀な成績を期待しているのは都道府県の体育協会くらいなものだろう。開催地以外の人は国体をやっている事すら知らない。インカレ、インターハイしかり、それよりも価値が高いとされる種目別大会は多数ある。

 TV界においてはTV自体が「総合」ジャンルとみなされて、若い人でTVを持っていないという人も相当に増えている。そんな中で、演歌からKPOPまで取り揃えて、民放系の人気者を司会者にしてまで続ける意義は何なのか。

 しかも年末どん詰まりの時間に、極めて大勢が大変な緊張を強いられつつ業務に励んでいるなど、働き方改革が叫ばれている中で許されるのか(笑)、と思えてならないのだが如何か。

 とまあ好き勝手書きましたが、今年も一年、見続けることができる幸せを感じながら大河を楽しんで、大晦日にはまた「紅白の意義は」とぼやいていたいものです。